2006年06月22日

題詠100首総集編(076~100)

その4 (076あくび)~(100題)



076:あくび 幸せはあくびをしてりゃくるものか 歌の文句のやうにゃいくまい

077:針    針千本のまされたとてわが癖の小さな嘘は止められもせず

078:予想   予想せぬことにしあれば魂(たま)冷えて虚ろになりぬ友の急逝

079:芽    酔ひやすくなりゆく友の病の芽育ちゐたるを吾ら気づかず  

080:響    一瞬の静寂ののち振り下ろすタクトにいまぞ 響 満ち来る

081:硝子   立て付けの悪き硝子戸ゆさぶりていねがたき夜を黒南風の吹く

082:整    整へる身形(みなり)したれどツアー客は声かしましく異土の街ゆく

083:拝    礼拝の人出できたる聖堂の外は物乞ひ居りて雨降る

084:世紀   夢にみし十九世紀末のことマーラー通りウイーン裏町

085:富    貧富の差かくも大きくなりたるを聖母マリアは救ひ給ふや

086:メイド  メイド・イン・ジャパン良品多しとふ さびしからずや人の品質

087:朗読  『蝉しぐれ』きみの朗読身に沁みぬ 涙腺ゆるむ歳となつたよ

088:銀    横ざまに白銀(しろがね)の糸投げかくる土蜘蛛が居る雨の街灯

089:無理 無理したらあかんやんかと叱られて甘えてゐたい女(ひと)もありけり

090:匂    紫陽花ははつかに濡れて夕明かり淡き縹(はなだ)の匂ひ移ろふ

091:砂糖   所在なく氷砂糖をなめてみる妻の外出(そとで)の雨の日の午後

092:滑    鎌倉の栄華も勇(いさむ)の放蕩も見て流れ来し滑川はや
                           *勇=吉井勇

093:落    浅間嶺に落つる夕陽と競ひつつ駆けて列車はトンネルに入る

094:流行   流行を追へどついては行けぬ吾 不易たるには浅き才能

095:誤    誤りは直せばすむと笑ひしが度重なりて不安増えゆく

096:器  手にとりて白磁の器いとしめば金糸雀(かなりあ)色の酒が囀る

097:告白   そのかみの幼き恋の告白もいまは酒宴の肴となりぬ

098:テレビ  いまもなほ故郷の川変らじとゆくりなく見しテレビで知りぬ

099:刺  「おまさん先祖の墓地をどうしまっそ!」故郷人の言葉耳刺す

100:題  生きるのか死ぬのかそれが問題だ まぁいじゃないかいずれ死ぬのさ…

     完走日 6月18日
             (001に戻る)

at 15:50│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!2006年題詠100首参加作 

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